ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!

 雪村深結。彼女との出会いは三年前だ。

 俺はまだ研修医一年目。彼女はすでに看護師として中堅だった。真面目で仕事中は笑わない綺麗な女性(ひと)。それが雪村深結の第一印象だった。

 一方で俺は、ロイヤル・ドクターなどと揶揄されていた。
 着任して間もなく同僚医師の誰かが皮肉交じりに言ったのが広まったらしい。

 実際俺はいずれ父の病院グループを継がなければならない身の上だが、自分から触れ回るつもりは毛頭なかった。
 特別扱いされても困る。研修医として積むべきものは厳しい指導のもと、きちんと積みたかったし、色眼鏡で見られたくない。

 それでも噂は独り歩きして、玉の輿でも狙っているかのように、色目を使ってくる女性医師や看護師が少なからずいた。

 しかし、雪村深結は違った。彼女はどんな医師や患者に対しても誠実で同じように接していたし、むしろ俺に対して冷ややかでさえあったと思う。

 あれは、頸椎の手術を控えた高齢の患者を診察した時だった。
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