ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 そんなことを考え、気づいた時には彼女のことが頭から離れなくなっていた。

 しかし雪村深結には恋人がいた。
 同僚看護師とそんなやりとりをしているのを聞いたのだ。

『えっ、雪村さん恋人がいるんですか』

 思わずそう聞くと、彼女は頬を染めて『ええ、一応』と答えた。

 ある夜、夜勤中に彼女を見かけて声をかけようと後をつけると、その先にいたのは白衣の医者。
 その密やかな様子から嫌な予感がした。

 知らぬ顔で通り過ぎざまにちらりと見れば、彼女は恥じらいを秘めて微笑んでいた。

 白石誠一郎、彼女の恋人はあいつだ――。
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