ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
「謝らないで。これからも友だちには違いないんだし。新しい病院で今度こそ深結が心から笑えるようになるなら、私はしっかりと見送るよ」

「ありがとう。露子がいてくれたから、私、ここまで頑張れた」

 寂しさに胸が詰まりそうになりながらも、親友の温かいエールが、勇気をくれた。

 そうして迎えた最終日。
 病院を出たときはここで働いた日々が、次々と脳裏に浮かび涙が溢れて仕方がなかった。彼とのことがなければとどうしても考えずにいられなくて、やりきれない思いに胸が締め付けられたけれど、私には泣いている暇なんてない。

 前を向いて行こう。後悔しないためにも新しい場所で少しでも成長していくしかない。そう心を奮い立たせた。

 帰り道、最寄り駅へ向かう夜の冷たい風に吹かれながら、私はふとスマートフォンを取り出した。

 予想通りメッセージの着信ランプが表示されていて、歩道の隅に立ち止まってメッセージを開く。

【最近、朝晩が冷え込んできましたね。風邪などひいていませんか?】

 クスッと笑ったものの、頬の力が抜ける。
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