キスするくせに、彼氏じゃない。
笑いをこらえると、目の端に少しだけ涙がにじむ。

指で拭おうとしたところで、瀬川くんの視線が止まった。

 

こちらを見たまま、何も言わない。

 

私は本を少し下げた。

 

「……何?」

 

彼は一度目を伏せ、自分の本を開き直した。

 

「別に」
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