キスするくせに、彼氏じゃない。
私は少しだけ背筋を伸ばした。

 

「最後、主人公が友達に何も言わずに町を出るでしょ」

「うん」

「あそこが、少し嫌だった」

 

彼がうなずく。

続きを待っている。

 

「でも、残ってほしいって言われたら、行けなくなる気持ちはわかる」

 

言葉を探しながら、本の角に触れた。

 

「自分で決めたことなのに、誰かに寂しいって言われると、悪いことしてる気がするから」

 

瀬川くんの指が、机の上で止まった。
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