キスするくせに、彼氏じゃない。
私は傘を開いた。

 

「今度は、転ばないから」

 

言うと、瀬川くんがこちらを見た。

 

一瞬の間。

 

「……うん」

 

彼も傘を開く。

 

二本の傘を並べて、雨の中へ出た。

 

駅へ向かう道で、袖が一度触れた。

 

どちらも、離れるほうへは動かなかった。

 

*
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