キスするくせに、彼氏じゃない。
放課後、廊下で一ノ瀬先輩に会った。

 

「白石さん」

 

振り向くと、先輩が片手を上げた。

隣には、以前中庭にいた男子がいる。

 

「今、帰り?」

「はい」

 

先輩の視線が、私の腕に抱えた本へ落ちた。

学校の図書室で借りたものだった。

 

「それ、この前話してた本?」

「あ、これは別のです」

「そっか。面白かった?」

 

私は表紙を見た。

あと少しで読み終わるところだった。
< 213 / 756 >

この作品をシェア

pagetop