キスするくせに、彼氏じゃない。
瀬川くんは私に気づくと、壁から背を離した。

 

「帰る?」

 

私はうなずいた。

 

約束はしていない。

それでも、二人とも同じ場所へ来ていた。

 

靴を履き替えながら、つい口元が緩んだ。

 

「何」

 

顔を上げると、彼が見ていた。
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