キスするくせに、彼氏じゃない。
風が吹いて、前髪が目にかかる。

直そうとした手が、隣の手に軽く当たった。

 

「あ、ごめん」

 

引こうとすると、指先が触れ直した。

 

私は動きを止めた。

 

律も、こちらを見ていた。

 

昨日、階段でつないだ手を思い出す。

 

差し出されているわけではない。
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