キスするくせに、彼氏じゃない。
「それ、正門まで結構ある」

 

すぐ横から声がした。

顔を上げる。

開いた扉のそばに、背の高い男子が立っていた。

同じ学校の制服。

緩めたネクタイに、片方の肩だけにかけた鞄。片手には閉じた文庫本を持っている。

 

私を見ていたのは、ほんの一瞬だった。
< 3 / 343 >

この作品をシェア

pagetop