深海のカフェ冬銀河〜破滅ではなくマスターに堕ちてゆく〜

―――その小説と出会ってから、私は、週末の昼下がりにスニーカーを履いて、カフェを巡るようになった。初めて行くカフェは、ちょっとだけドキドキする。それは、不安とは違う、歓びに満ちた感覚で。

この世界のコーヒーは、やっぱり苦くて。でも、その苦さと香りに癒されるようになっていた。

だけど、まだ、『深海のカフェ冬銀河』で、マスターが淹れてくれたようなコーヒーには出会えていない。 

それでも、カフェ巡りが楽しくて。レトロなカフェや、最先端のカフェ、店内も素敵だけど、テイクアウトをして、緑豊かな公園で飲んだり。ふと見上げると青い空があって、鳥が飛んでいて。私は生きる希望を持てた気がした。 

深海だったはずなのに、夜空のように星が煌めいていた、あの時に見た星々は、私がこれから出会うはずの人々。あの星の中に、マスターである星野柊夜さんのように素敵な人はいるのだろうか。

私は、そんなことを思いながら、今日も立ち寄ったカフェで、バッグから取り出した小説『深海のカフェ冬銀河』を読む。

コーヒーを飲みながら、ゆったりと。

小説は、どこにでも持ち運べる私の居場所。

私は小説の世界で、またあなたに逢いたい。何度も何度も読み返して、あなたに逢いたい。


【深海のカフェ冬銀河〜破滅ではなくマスターに堕ちてゆく〜END】


(次のページに、あとがきがあります)


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