いつか終わってしまう初恋に、わたしはあなたを巻き込んだ

七歳

 あれは確か、七歳の時だった。

 盛大に開かれた自分の生誕の宴の夜。わたしは尋ねた。

「ねえ、ラウル。あなたは一体、何をくれるの?」

 大広間を埋め尽くさんばかりの宝物に浮かれていなかったと言えば、嘘になる。

 父様からは、抱えきれないほどに大きな熊のぬいぐるみを。
 母様からは、目の覚めるような美しいドレスを。

「ぼくは……」

「クリストフ様はこんなに大きな金剛石(ダイヤモンド)をくださったのよ。つまらないものだったら、許さないわ」

 会ったこともない大国の婚約者は、誕生日には贈り物を欠かさなかった。それがただの慣例だとわたしが知るのは、もう少し後の話だ。

 対して、目の前にいるのはやっと見習いになったばかりの十四歳の騎士である。王女付きになれた喜びを隠しもしない彼は、わたしの格好の玩具だった。

「フェリシエンヌ殿下」

 ラウルは恭しくわたしの手を取ったかと思うと、おもむろに跪いてみせた。

 夜の海のような黒い瞳が、真っ直ぐにわたしを見上げてくる。
 迷いのない、静かな目。

「ぼくは王子殿下のように、宝石をお贈りするような大それたことは、何もできませんが」

 ラウルはそっと、わたしの手を押し戴いて額に当てる。最大限の敬意と忠誠を示す、この仕草。

「ぼくは、ぼく自身をあなた様に捧げます。どんな時も殿下のおそばにいて、必ずお守りするとお誓い申し上げます」

 それはわたしがまだ知らなかった胸のときめきをもたらした。

 ああ、どんな眩いばかりの宝石もこの瞳の輝きには敵わない。
 これがあればもう何もいらないとさえ、思ったのだ。

「そう。ならばあなたは一生、わたしのものよ」

 けれど、幼いわたしは知らなかったのだ。
 それがどれだけ愚かで、罪深い行いなのかを。
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