傷心な私と幼なじみ御曹司の契約結婚~不眠治療のハズが、20年分の執着愛で甘やかされています~
夜中、いつ創がベッドに来たのかはわからないが、目が覚めた瞬間、密着しているのは心臓が持たない。
不眠症が信じられないくらい、ちゃんと眠れているようだけれど……?
でも本当にただの抱き枕だ。
って、別にそれ以上を期待しているわけじゃないけれど。
「莉緒」
「ふぇっ! な、なに?」
驚きすぎて思わず変な声が出てしまった莉緒が焦る。
創は一瞬きょとんとしたが、本棚の前まで歩いてくると莉緒を上から覗き込んだ。
「エロいことでも考えてた?」
「そ、そんなこと!」
笑いながら創は莉緒の前にスマートフォンを差し出す。
「ここのマンション、生体認証だから登録しよう」
「えっ?」
「明日仕事だろ? 登録しないと住人専用エレベータもひとりで乗れないから」
このマンションに鍵はないのだと創は教えてくれる。
だから昨日も一昨日も鍵を開けたり、暗証番号を入力する姿を見ていないんだ。
登録は簡単だった。
でも——。
「なんで桐生なの!?」
「当然だろ?」
入力されたのは「桐生莉緒」。
見慣れない桐生の姓が恥ずかしすぎる。
「いつでも自由に出入りできるけれど」
耳元で囁かれた「必ず俺のところに帰って来いよ」という言葉に、莉緒はバクバクする心臓を手で押さえ込んだ。
「はぁ~、遅刻するかと思った」
月曜日。初めて創のマンションから出社した莉緒は、二駅だからと油断した自分を呪った。
乗り換え路線が集中するターミナル駅を舐めていた。
ホームには人があふれ返り、超満員の電車を二本も見送る羽目になったのだ。
『車で送る』って言ってくれた創くんの提案、素直に受けておけばよかった……!
「おはようございますぅ、莉緒さん」
普段挨拶になんて来ないのに、わざとらしい甲高い声とともにやってきたのは玲奈だった。
「莉緒さん、大丈夫ですかぁ? 遅刻ギリギリなんて珍しいですね。やっぱり、彼に振られたショックで眠れなかったんですか?」
玲奈の大きな声がフロア中に響き渡り、周囲の同僚たちの視線が一斉に集まった。
不眠症が信じられないくらい、ちゃんと眠れているようだけれど……?
でも本当にただの抱き枕だ。
って、別にそれ以上を期待しているわけじゃないけれど。
「莉緒」
「ふぇっ! な、なに?」
驚きすぎて思わず変な声が出てしまった莉緒が焦る。
創は一瞬きょとんとしたが、本棚の前まで歩いてくると莉緒を上から覗き込んだ。
「エロいことでも考えてた?」
「そ、そんなこと!」
笑いながら創は莉緒の前にスマートフォンを差し出す。
「ここのマンション、生体認証だから登録しよう」
「えっ?」
「明日仕事だろ? 登録しないと住人専用エレベータもひとりで乗れないから」
このマンションに鍵はないのだと創は教えてくれる。
だから昨日も一昨日も鍵を開けたり、暗証番号を入力する姿を見ていないんだ。
登録は簡単だった。
でも——。
「なんで桐生なの!?」
「当然だろ?」
入力されたのは「桐生莉緒」。
見慣れない桐生の姓が恥ずかしすぎる。
「いつでも自由に出入りできるけれど」
耳元で囁かれた「必ず俺のところに帰って来いよ」という言葉に、莉緒はバクバクする心臓を手で押さえ込んだ。
「はぁ~、遅刻するかと思った」
月曜日。初めて創のマンションから出社した莉緒は、二駅だからと油断した自分を呪った。
乗り換え路線が集中するターミナル駅を舐めていた。
ホームには人があふれ返り、超満員の電車を二本も見送る羽目になったのだ。
『車で送る』って言ってくれた創くんの提案、素直に受けておけばよかった……!
「おはようございますぅ、莉緒さん」
普段挨拶になんて来ないのに、わざとらしい甲高い声とともにやってきたのは玲奈だった。
「莉緒さん、大丈夫ですかぁ? 遅刻ギリギリなんて珍しいですね。やっぱり、彼に振られたショックで眠れなかったんですか?」
玲奈の大きな声がフロア中に響き渡り、周囲の同僚たちの視線が一斉に集まった。


