ミラーボール
気付いたら、泣いてた。
女の子が、眩しくて、歌が、私を励ましているみたいで、それでも私の手では本当に掴みたい物が届かないんじゃないかって、不安が、目から溢れた。
泣き出した私に気付いた、女の子は歌を止めて、歩み寄ってきた。
「……いい歌ですね…」
「ありがとう」
ニコリともせず、女の子はそういうと私の隣に座って、歌い始めた。
さっき歌っていた歌。
私だけに歌ってくれた。
さっきよりは優しくギターを鳴らしながら。
そんなことをしてくれた人は、初めてだった。
それが、安藤瑞希との出会い。彼女は私にギターと、発声の仕方を教えてくれた。
私は、段々と音楽にのめり込んでいった。
ここは居心地が良かった。勉強しかない私が、初めて手にした音楽は、私の固まっていた心臓を、優しく動かしてくれたのである。
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