ミラーボール


また、掴まなくては、しがみ付かなくては、私は、消える。こんなちっぽけな人間がこんな広すぎる世界の中、一人で生きていけるわけがない。



ギター一本じゃ、まだ足りないんだ。



私の身体を、『生きる』という海で呼吸できるように海面へと浮上させるには。



「何かないと、生きていけない…生きてる気がしないの、時間は進んでくけど、私一人置き去りにされてるみたい」



「うん」



「ちょっと前までは、何でも出来るって気がしてた。ギターを買って、勉強しだして弾けるようになった時は、生きてるって感覚があった。いつも楽しかった、わくわくしてた。けど今は、心臓が止まったみたい」



「ひなたはあたしと一緒で生きるのが下手なんだよ」



瑞希は軽くギターを鳴らしてBGMのように、メロディーを奏でた。



何の歌かはわからない、ただの即席のメロディーかもしれない。



「楽器は、アンタが離さない限り、離れて行かないよ」



そういって、瑞希は一枚の紙を私に差し出した。



そこには「ミラーボール」と題された歌の、楽譜と歌詞が書かれていた。



瑞希が、私に歌ってくれた、あの歌だった。



「ミラーボールっていうんだ、この曲」



「あげる。好きに歌いな」






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