ミラーボール
その日から、私は水を得た魚のように、この楽譜と真剣に向き合った。
コードも、歌詞も音程も、リズムも、全部を叩き込んで、何時間も練習し続けた。
帰りは遅くなった。
《○○公園でギターの練習してるから遅くなる》。
親に、メールをした。
返事は返ってこない。
それでも、深く傷つくことはなく、私は遅くまでギターを鳴らして練習し続けた。
指先は、痛かった。
ギターの弦が食い込んで、力が入らなくなる。
私は、深爪してまで爪を切った。皮膚が、指先がちゃんと弦を押さえられるように。
その指を見た瑞希は呆れたように笑っていた。
「飢えた獣みたい」
瑞希はそう、私を言い表す。