ミラーボール


暫く眺めていると、元バンドメンバーのうち一人が私に気付いて、肘で実花を小突いた。



実花と目が合って、すぐに彼女達は逃げるように走り去っていく。



対して瑞希は私にも実花にも大した反応を返さずに、チューニングを合わせている。



私は瑞希の隣に歩み寄っていくと腰を下ろして問いかけた。



「何かあったの?」



「うちのバンドに入らないか、って。遠慮しといたけど」



「そうなんだ…瑞希は一人でしてくんだもんね」



「それもあるけど、コピーは興味ないし」



ふぅん、と小さく声を漏らして、私はギターを取り出すと弾き始める。



それに合わせて、瑞希が一緒にギターを鳴らしてくれた。





『ミラーボール』。





瑞希は歌ってはくれなかったけど、最後まであたしのギターと歌に合わせて、ギターを鳴らしてくれていた。







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