青い空の下で
第10話

「音羽,その指輪・・・」

目の前には,
真人が驚いた表情で
立ちすくんでいた。

「真人。
 どこまで送っていけばいい?
 尚登さんの家でいい?」

私は,
真人の言葉に対する答えを出さず,
運転席に乗り込んだ。

そして,
そのネックレスを
また服の中にしまいこんだ。

真人も何もいわずに
助手席に乗り込んだ。

尚登さんの家まで,
なにも話すことなく時間が経っていった。

きっと,勘のいい真人のことだから,
私の気持ちを察したんだろう。

そう,
ネックレスのチェーンにつながれていたのは,

真人にもらった
最初で最後のプレゼントの指輪だった。

まだそんな指輪を
肌身離さずにもっている私を,
真人は呆れただろうか。

いまだに,
真人のことを想っている事に気づいただろうか。

だけど,
それを口にする勇気は私にはなかった。

もしも口にしてしまえば,
この想いに辛うじてかけている箍が外れてしまう。
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