青い空の下で
第12話
「なあ。倫子くるだろ・・・・」
家には誰もいない昼下がりだった。
携帯は渉からの着信を伝えていた。
私は,すぐに返事をしなかった。
正確に言うと,出来なかった。
平気な顔で同窓会に出れるほど,
私は自分の心に自信が持てなかった。
「出来れば出て欲しいんだ。倫子。」
渉の声はいつになく真剣だった。
「何かあったの?」
「いや・・実は真人から頼まれてるんだ。」
「何を?」
不意に渉の口から出てきた真人の名前に,動揺している自分を隠しながら私は聞いた。
「真人がお前とセッションしたいって
言ってきている。
ここに,楽譜も預かってる。
どうする?倫子。」
意外な提案に,
心臓の鼓動が一気に早くなった。
真人とセッションが出来る。
それは真人への想い以上に
私を大きく揺さぶった。
10年ぶりだった。
二人で舞台にたった
最後の日のことが脳裏によみがえった。