青い空の下で
第19話
雲ひとつない青い空を見上げる私に,
太陽から容赦なく眩しい日差しが降り注いでいた。

朝早い天文館は,
人通りもほとんどなく
夜の喧騒が嘘みたいに
静かだった。

近くのドーナツショップに入ると,
コーヒーとマフィンを頼み
カウンター席に座った。

ゆっくりと朝のコーヒーを
一人で楽しむなんて
いつぶりだろうか。

真人の部屋で目覚めると,
必ず入れてくれたコーヒーの味を思い出した。

夜の営みの跡を残すベットの上で,
朝の穏やかな時間を二人で過ごす幸せを
当たり前のように感じていたあの時の幸せな気持ちが,ふと思い出された。

私の身体を一つ一つ確かめるように,
体中にkissを残す真人の愛撫が
よみがえってきて,

体の芯にある残り火がくすぶり始めるような気持ちになって,
顔が高潮してきたのを感じた。

私はグラスに入った水を一気に飲み干すと,
残っていた氷の欠片を口に含み
思い切り噛み砕いた。

その冷たさが唇から体中に浸み込んで,
私の心を冷やしていった。

こんな時に,どうして真人との情事を思い出すのだろうか。

と,自分自身のまだ女として残っている思いに苦笑した。

私は店を後にすると,そのまま南埠頭へ向かった。

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