青い空の下で

「ママ!!」

真子が私の姿を見つけて,
手を振って駆け寄ってきた。

「いい子にしてた?」

「うん。とても楽しかったのよ。
 妹が一気に3人もできて。
 直ちゃんのお料理もとてもおいしかったの。」

「そう,よかったわね。」

私は直子に視線を上げると

「ありがとう。おかげでいいライブが出来たわ。」

と頭を下げた。

「こっちこそ。
 真子ちゃんがとてもいいお姉さんで
 こちらも助かったのよ。
 またお願いしたいわ。」

と真子と私を見ながら,直子は笑顔を見せた。
何かを聞きたそうな直子を見ながら,

「また電話するから・・・」

と言うと,私は真子と二人高速船に乗り込んだ。


しばらくはもう鹿児島へは戻らないようにしよう。

私の心に平穏な日々が訪れて,
そしてまた真人への想いを封印できる日がくるまで
窓から見える桜島の姿を見ながら思った。


高速船はあっという間に海峡を越えて,
私たちを日常の世界へ誘ってくれた。

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