【長編】ホタルの住む森


君がそれを望んでいるのは知っていた。

それが現実になるなんて思っても見なかった。

リスクが大きすぎる、そう思っていた。

君を危険にさらしてまで欲しい物は何も無かった。

だけど、僕は決めたよ。

君とこの子を護り未来を見つめていくよ。

例えそれが儚い夢でも…。

茜が望んだささやかな夢なら…。

「晃…ありがとう。3人で幸せになろうね」

腕の中のぬくもりを確かめながら、返事の変わりにキスを深くする。


幸せにするよ。


僕の全てをかけて…。



『晃…この子は強く優しい子になるわ。
そして、いつかあなたを未来に導いてくれるはず』


小さく呟いた茜の言葉は言霊となり晃の心に刻み込まれた。


晃が茜のこの言葉の意味を知るのは、これより17年後…。


再び茜の魂と巡り逢うときの事…。



++ Your Little Wish Fin ++


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