奴のとなり
「あたし・・・、一樹桃矢の手好き」
「・・・」
「一樹桃矢の手に撫でられるの大好き」
「・・・・・・」
「撫でてくれるなら、一生一緒にいたい」
「・・・・・・・・・」
「きもちいーーー」
気が緩みっぱなしで、
思ってることが緩々と口から出て行く。
あたしには止める気もない。
撫でる手が止まって、
あたしは現実に戻らなくちゃいけなくなった。
目をゆっくり開けると、奴の後頭部しか見えない。
あたしの体はやっぱり奴の手の中にあるんだから、
顔を背けられてるって分かった。