奴のとなり



「あたし・・・、一樹桃矢の手好き」



「・・・」



「一樹桃矢の手に撫でられるの大好き」



「・・・・・・」



「撫でてくれるなら、一生一緒にいたい」



「・・・・・・・・・」



「きもちいーーー」



気が緩みっぱなしで、
思ってることが緩々と口から出て行く。



あたしには止める気もない。



撫でる手が止まって、
あたしは現実に戻らなくちゃいけなくなった。



目をゆっくり開けると、奴の後頭部しか見えない。



あたしの体はやっぱり奴の手の中にあるんだから、
顔を背けられてるって分かった。










< 185 / 555 >

この作品をシェア

pagetop