奴のとなり



じっとしてても落ち着かないから、
立ったり座ったりずっと動いていた。



たった10分ぐらいなんだけど、
永遠に感じた。



むしろ
このまま永遠に来ない時間が続けばいいって
思った。



でも、
それはあたしが思っただけで、
最後の自由な時間の終わりはすぐにやって来た。



ひどく息を切らした奴がやって来て、
思いっきりあたしを睨みつける。



もう目で殺すみたいに。



それからお得意の
眉間に皺を深く刻むと、
思いっきり深い溜息を吐かれた。



その間あたしは何も言えなくて、
行けなかった理由を
説明しなくちゃって思ってたけど、
全く無理。



何を言っても
地雷を踏んじゃうって気がしてならない。



下手に口を開いて
最悪の事態を自分から招きたくなんてない。



じっと様子を伺っていると、
横に居る彼女のことが視界に入る。



小悪魔さんは奴をじっと見上げていた。



とても愉しそうに。










< 198 / 555 >

この作品をシェア

pagetop