奴のとなり
‘嫉妬’
それはあたしが言葉と意味だけを知っていて、
縁のなかった言葉だった。
「嫉妬・・・」
「そう嫉妬。
一樹が小悪魔さんに
他の子とは違う接し方してるの見て、ね」
「しっと・・・」
「うん。
原因が嫉妬だって分かって、
あいつも嬉しかったんだろ」
「シット・・・」
「なんせ
アイツが鼻歌唄っちゃうくらい
嬉しかったんだから、相当だろ」
「・・・」
何かもう、絶句!!だ。
嫉妬って、
相手のこと好きじゃないとしないよね?
ってことはだよ。
あたし、もしかして奴のこと好きなのか?
そりゃ嫌いじゃないし、
隣に居るのは好きだけど。
そういう意味の‘好き’じゃないって思ってた。
でも、もしかしたら違ったのかも。
モヤモヤにやっと形と名前を貰ったのに、
あたしの心はすっきりしない。
急に恋を突きつけられたから
なのかは分からない。