奴のとなり
「分かりにくい一樹と、
天然の桜ちゃん。
これは大変な組み合わせだよな」
「天然じゃないですけどね」
「あぁ、そうだったな」
絶っ対に、
そうは思ってない顔で、
相槌だけくれる。
どうやらあたしに
‘天然’って言葉は定着してしまったらしい。
ちょっと空気読めないだけなのに、
ちょっと変なこと言っただけなのに・・・。
変わり者のほうがマシだっつの。
頬を膨らまして怒ってると、
前から笑い声が聞こえた。
「ナナミさんっ!!」
「ごめんごめん。
桜ちゃんは嫉妬したんだよ、
その小悪魔さんにさ」
「へっ」
思ってもない言葉が出てきて、
あたしは言葉を失った。