奴のとなり



奴は特別いつもと変わらないように
思える様子で、あたしを迎えに来た。



まるで休みの日に
遊びに行くときみたいに。



一人どきまぎしてた、
あたしがバカみたいじゃないって、
ちょっと腹が立ったけど。



何で一人暮らしなのか、
とっても聞きたくてむずむずしたけど、
ここは我慢だと思った。



もしかしたら、
奴には触れられたくない
ところかもしれないし、
そうじゃないかもしれない。



それでも、今は聞くことはたくさんある。



他にも聞くために勇気が必要なのに、
さらに自分を追い詰めるのもなって思った。



人様ん家に上がって、
すぐに気さくに話しかけれるほど
あたしは出来た人間じゃない。



だから、
奴から何か言ってくれるのを
待ってたのに・・・。



奴は一向に口を開こうとはしなかった。










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