奴のとなり



待っても待っても、
攻撃の気配はない。



それどころか、何の物音もしない。



でも体に奴の重みはあるから、
奴は確実にあたしの上に乗ったまま。



こっそり片目を開けると、奴と目が合った。



!?



何?



一樹桃矢は妙に真剣な顔をしていて、
あたしの顔をじっと眺めている。



何か着いてるとか?



あたしの顔が変だとか?



でも、どれって今さら言われても困る。



それでもいいって傍にいてくれたんじゃないの?



それでもあたしを傍に置いておきたいって
思ったから一緒にいるんじゃないの?



それにそんなこと今さら言うとか失礼にも程がある。











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