奴のとなり
「どこまで、ぶっ飛んでんだよ」
妖艶な笑みに、あたしは現実に引き戻される。
「えっ!あぁ、で何?どうしたの?」
「まぁな」
意味不明な言葉をいただく。
まぁもういいですよ。
一樹桃矢のこういう意味不明なところ慣れた。
それに意味不明だけど、
悪い意味じゃなさそうだからね。
あたしの前髪を掻き分けるように触ると、
あたしの顔を撫でる。
それが気持ちよくて、身を委ねるように傾ける。
なんかペットみたい。
奴はあたしの頬、おでこ、鼻、口を宝物に触れるみたいに大事そうに触れる。
それがくすぐったくて、嬉しくて、あたしは身を任せて猫になる。