奴のとなり



さっきまでペタペタやクルクルはあたしの心を沈ませたけど、現金なもので、奴が気に入ってくれてるって分かった途端に悪くないものへと変わった。



綺麗にしてもらってよかった。



奴が褒めてくれるなら、少しぐらい我慢しても価値がある。



一応キサラギさんのいう作戦の成功なんじゃない?



何を目的にしたものかは知らないけど、奴の耳も少し赤いってことは効果ありってことだよね。



「サツキさんにお礼言わないと」



頭の中で思ってた言葉を、どうやら口に出してしまっていたらしい。



奴は眉間に皺を刻み、訝しげな視線を見せる。



「サツキって誰だよ」



そう言われて、口に出してたって気づいた。










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