奴のとなり
「あっ、ナナミさんだ。もしもし?」
『桜ちゃん?今一樹といる?』
「隣にいますよ」
『じゃあ、俺からのプレゼントを今渡そうかな』
「さっき貰いましたよ」
『サクリアン?あれはオマケ』
「へっ?」
サクリアンはオマケ。
ナナミさんは今までに無いくらい愉しそうに、笑い声を漏らしながら、続けた。
『一樹って呼ぶ女は沢山いても、桃矢って呼ぶ女は居ないって知ってた?』
「桃矢?」
ナナミさんに確認するために声を出しただけだったけど、視界に映る奴の視線を感じた。