奴のとなり



「どうした」



「うん。居ないから気になって」



「そうか」



「うん」



奴に近寄って、隣に立つ。



ふわり



あたしを包むように暖かいコートが振ってきた。



「なんつー格好してんだよ」



「だって」



「初日からこれじゃ、先が思いやられるな」



「だって・・・」



奴の目は細くなってて、優しい。



あたしの好きな目だ。



奴があたしに掛けたコートのポケットを探る。



不思議に思ってると、手に持った携帯が震える。













< 373 / 555 >

この作品をシェア

pagetop