奴のとなり
「ちょっと、どうしたの!?」
「帰るぞ」
「えっ、ちょっっ!」
有無を言わせずに、奴はあたしの手を引いていて、ナナミさんはすでにドアを開けて待ってる。
綾子さんはびっくりしてたけど、サツキさんはにっこり優雅に笑って手を振る。
「わっ、とにかくありがとうございました!!」
何とかぎりぎりお礼を言うと、
「またね」
と返事が返ってきた。
手を引かれながら、奴の雰囲気を読もうとあたしは奮闘していた。
最初は不機嫌でもなかったし、サツキさんのこと嫌って訳じゃなさそうだった。
じゃあ、何で?
最後はとっても不機嫌で、ぴりぴりしてた。
何かあったのかな。
って、思ったけど聞けそうに無い。
怒ってるというよりは・・・。
また、車に乗って、あたしは家の前で下ろしてもらう。