奴のとなり



「今、何時!?」



桃矢くんはポケットから携帯を取り出すと、ディスプレイを見て、「4時半」と訳も分からないまま答えた



「皐月さんっ!!」



桃矢くんの眉間に思いっきり皺が刻まれて、一気に不機嫌になる



いやいや、説明したいけど、話すと長いし上手く伝わるか分からない



顔が険しくなっていたらしく、桃矢くんはあたしの眉間を指でほぐす



「何で桜が、んな顔すんだよ」



「いろいろあるんです」



「で?皐月がどうって?」



「うっ…、いろいろ略せば校門で待ってくれてるの」



「へぇ、じゃあ行くか」



「へっ!?あぁ、うん」



あたしを立ち上がらせると、埃を払う



手を差し出すと、あたしの手を引くように歩き始めた



おかしい…



桃矢くんが不機嫌じゃない



いくらタイミングがいいと言っても、いつもなら絶対こんな感じにならないはず



いつもなら、「皐月って何で奴の名前が出てくんだよ」とか、「……」なはず!!



とにかく納得できなくて、様子を伺うように見上げる












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