奴のとなり



門には皐月さんの車がすでに停まっていて、皐月さんは門に繋がる石段に腰掛けていた



やっぱり目立つ



下校時間だから生徒も多い



男の子も、女の子も皐月さんを素通りなんて出来なくて、立ち止まったり、顔が横向っぱなしだったりして魅入っている



皐月さんは大して気にとめるでもなく、本を読んでいた



黒いジャケットにジーンズ、シンプルなのにとっても似合ってる



皐月さんに見とれながら、肩に触れた



皐月さんにも何て言って良いかわからない



あたしがあんな風に無茶苦茶になった理由は話してない



けど、皐月さんなら気づいているかもと、どこかで感じていた



なら、ここでこうして奴と一緒にいるのを伝えるのは難しい



皐月さんは振り返ると、口を弓の形に緩め、優しく笑った



これから、あたしは予想すらしなかったことを知ることになる














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