奴のとなり
いつも登校を観察していたなかで、
一番目を惹いていた人だから直ぐに納得できた。
彼女は1ヶ月と同じ人が隣にいるのを見たことない。
飽き性なのか、
勝手に女が寄ってくるからなのか知らないけど。
なにしろ彼が、
一樹桃矢が
どの彼女にも興味がなさそうだった。
二人の温度差は
女がどんなに変わろうと
近づくことは無い。
それがあたしの興味を更に掻き立てる。
自分をちっとも好きじゃない男と付き合って何が楽しいの?
そうまでして隣にいたいの?
夏が終わり、
冬が始まる今もそれは変わらない。
だんだん一樹桃矢という人間を
目で追うことが多くなった。
恋というよりは、
研究対象みたいな感じ。
でも話しかけることもなく、
目が合うこともなく、
日々は過ぎていった。