奴のとなり



ケイちゃんは鼻の頭を掻きながら、あたしに視線を寄越す



「あんなぁ、さっきから言うてるように、一樹は頑張っとったし、さくちゃんに早会おうとしとった。それ以上に何がいるねん」



「あの一樹がさくちゃんのためにそこまで変わったんや。それで十分愛を感じるやろ」



それだけ言うと、ケイちゃんはごろんと壁側を向いてしまった



「ほな寝かしてくれ」



壁に当たった声が跳ね返って聞こえてきた



「おやすみ」



「へ〜い」



少しして、ケイちゃんの規則正しい寝息が聞こえてきた



あたしはころんとケイちゃんと反対側を向く



十分愛感じるやろ



うん



だから知りたいんだよ



あたしの為にしてくれたことなら



宝物にしたい



考え事しながら、ベッドでうだうだしてると、勢いよく保健室のドアが開いた



なんとなく



なんとなくってより確信に近いけど、誰か分かった



もうドアの開け方が不機嫌な感じだよね



一応狸寝入りを決め込んだ













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