林檎と、キスと。


「……」

腰を下ろし、元の体勢に戻った彼。

「……」

きっと、耳まで真っ赤になってしまったであろうわたし。


シャリッ-…

彼に見つめられながら、りんごをかじった。


胸がいっぱいで、これ以上はムリだとわかってるくせに、ゴクンとのみ込む。


シャリッ-…

と。

二度目の音を立てた瞬間に、彼の顔がぐんっと近くなった。


そして、

「な、なにっ!?」

と言葉を吐き出す間もなく、反対側のりんごの端をかじられてしまった。


「………っ!?」

間近にある彼の顔の、どこに目をやればいいのかわからないほど、パニック状態のわたし。


「…え?…えぇっ!?」


ようやく定まったと思った視線の先は、彼の唇だった。


彼は、かじったりんごをシャリシャリと噛み砕くと、ニッと笑った。

< 18 / 20 >

この作品をシェア

pagetop