有罪モラトリアム
人の変わったようなSの態度。
突き刺さるような言葉。
呆然としてしまいました・・・・。
これは、私の知ってるSじゃありません。

A「ユキ・・・。大丈夫?顔が真っ青なんだけど。」

なんだか目の前がフラフラして、気持ちが悪くなって・・・

意識がプッツリと途絶えました。

ショックのせいか、昨日あまり寝てないせいか、立ったまま貧血を起こして倒れてしまったみたいです。

Aだけは、私の事を信じてくれました。
応援してくれました。

他の4人はSと一緒にずっと私を無視し続けました。
そればかりか、イタズラ電話(ワンギリ)を繰り返したり、教科書を捨てたりと、どんどんエスカレートしていきました。

T君とはその後、一緒に花火大会へ行きました。
でも、お互いに罪悪感が拭いきれず、結局すぐに別れてしまいました。
私の初恋は、あっさりと終わってしまいました。

Sが流した私の酷い噂は学年中に広がりました。
廊下のすれ違い様に「ヤリマン」と言われた事もありました。
人に嘲笑われて、すごく辛かったです。
T君は私の事庇ってくれたけど、それが余計に気に入らないらしく、どんどんエスカレートしていきました。

そればかりかAまで標的にされるようになり、
全然身に覚えのないような噂が広がって行きました。

そして、Aは学校へ来なくなりました。
あの、明るかったAがどんどん暗くなっていきました。
生徒会で、壇上に上がり、堂々とみんなの前でスピーチするような女の子だったのに。
まるで人が変わってしまいました。

私のせいだと、私は私自身を責め続けました。

サッカー部のマネージャーだけは、がんばって続けました。
部活の男の子達は、噂を知ってても私のことを信じてくれました。
T君が弁解してくれてたのかもしれません。
私の唯一の救いでした。

私が悪かった部分も確かにあったのでしょう。
Sに対して、気持ちの配慮が足りなかった。
T君に告白された事、黙っておいた方が良かった。
私は彼女のプライドをズタズタにしてしまったのでしょう。
今はそう思います。
でも、彼女が私やAに対して行った事は、それ以上に思いやりにかけた行為だと思っています。
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