有罪モラトリアム

夏休みは部活動のない日は、本当に暇でした。
Aと一緒に遊ぶ日もあったけど、
Aはどうやら鬱病になってしまったらしく・・・あまり外に出たがりませんでした。

そんな2002年の夏休みのある日、暇な私はゲームコーナーをぶらついていました。
そこで見つけてしまったのです。

なんだろこれ?オンラインゲーム・・・?
ネットでゲームが楽しめて、日本中のいろんな人と一緒に遊べるって書いてある。
ネットゲームしたことないけど、おもしろそうだからやってみたいなぁ。

その日にそのゲームを買って帰り、早速ゲーム機に入れてみましたが・・・ゲームが始まりません。
付属の分厚い説明書に目を通すと、どうやら登録にクレジットカードが必要だとわかりました。
なんだ、このゲーム・・・
未成年じゃ無理なんじゃ・・・。

と、しばらく放置していたのですが
やっぱり暇なので、ダメ元でお父さんにお願いしてみました。

「お父さん~・・・。ケータイの料金プラン、一番安いのにするから、このゲームやるのにカード貸してくれない・・・?
ゲーム代とケータイ料金足しても料金はむしろ安くなるし!」

悲しい事に、グループのみんなと遊ばなくなってからケータイ使う機会もほとんどなかったんです。

そしたら、父は「お母さんには内緒だぞ。」と、カードを貸してくれました。
ネットで公式サイトとにらめっこしながら。

必死で設定を終えて、

いざログイン!!!
一歩踏み入れた、ゲームの仮想世界。
最初はわからないことばかりで、敵との戦い方すらわかりませんでした。
あのときは、寂しかった時間をただ埋めたかっただけかもしれません。

私はまさかそのゲームの中で、恋をするとは思ってもいませんでした。
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