【完】ペテン師との甘い夜
「…ここ二日で、どれくらい分かった?」



国見社長は余裕の笑みを浮かべながら言う。



「あのペテン師に、ヒントを出されたの。」



「ヒント?」



「そう、"霧島勇治"って男の名前。」



私が言うと、国見社長がピクリと眉毛を動かした。



「それで、何が分かったんだ?」



「霧島勇治は、貴方のお母さんを殺したってこと。」



私の言葉に国見社長の顔が影を帯びた。



「…霧島は、無実だ。アリバイがある。」



「アリバイって?」



静かに聞く私。



国見社長は低い声で答えた。
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