【完】ペテン師との甘い夜

私は早足で歩き、社長室の前まであっという間にたどり着く。



もちろん早く帰りたいから。



コンコン



「澤木ですが…。」



「入れ。」



あの低い声が室内から聞こえる。



私はドアを開き



「失礼します。」



と、一応言って入った。



「掛けていいぞ。」



国見社長は私に黒いソファーに座るように促す。



私は軽く会釈して、そのふかふかの黒いソファーに腰を下ろした。



社長も自分の椅子から私の目の前のソファーに腰掛ける。