ユキの奇跡
私のトモダチ

鏡の中の私。

 これは、私の中の、ほんの小さな奇跡。

 「もう、嫌。やっぱり学校行きたくない」
 「だめ、そんなこと言ってちゃ。がんばって行くの」
 「嫌だぁ」
 「もう、ハナは…」
 
 私の部屋の鏡の前、私にとって、今一番心が落ち着く場所。
 
 「あのね、ハナ、私だってずっとハナと一緒に居られるわけじゃないのよ?」
 「そんなことない!ユキと私はずっと一緒!」
 「ハナぁ…駄々っ子じゃないんだからぁ」
 
 すねる私の顔を、ユキが困った顔で見つめてる。
 そう、私とユキは小さい頃からいつも一緒。
 初めて姿を見た時は驚いたけど、私を見守る守護霊さんなんだ。
 
 「もういいよ!私、寝るっ」
 
 言ってボスっと布団を頭からかぶる。
 
 「ちょっと~ハナ!ちゃんと人の話聞きなさいよっ」
 
 遠くからユキの声が聞こえる。ユキはいつも厳しいんだよね、なんて思いながら、目をつぶった。
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