我妻教育
「春になったら、咲くよ!何色が咲くかは、お楽しみね♪」

未礼は、花が咲いたような笑顔を見せた。


「そうか、それは楽しみだ」


落ちていた気持ちが、すくいあげられた気がした。



「そうだ、未礼。お土産があるのだ」

「えっ!何なに?!」

「見てからのお楽しみだ」

「どこにあるの?!」

「居間に置いてある。先に手を洗ってくるんだ」

「はーい♪」



…チヨには、上手く笑えなかった。




居間で、土産を嬉しそうに開ける未礼に頼んだ。


「よければ、何か昼食を作ってくれぬか?腹が減った」


「うん!何が食べたい?」


「そうだな…」


メニューを考えながら、思った。



“未礼の味方は私しかいない”

琴湖の言葉を思い出す。



私にも、未礼しかいないのかもしれないと。









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