我妻教育
「初めは、絶景とか、風景を写した写真が多かったんだけど、だんだん子どもを写した写真が枚数を占めるようになっていったんだ」

言いながら、管理人はアルバムをめくった。


兄は、旅をしていく中で、ボランティアへの関心が湧き、支援の重要性を実感していったのだろう。



兄の軌跡を眺めていると、兄のことを知りたがったのは私であるにもかかわらず、純粋に楽しく受け入れられない、心の狭い自分がいた。


親友に対しては、これほどたくさんの写真を送り続けたにもかかわらず、

なぜ、私には・・・。





「管理人殿。一つ、ふに落ちないのだが」


「?なんだい?」


兄はいつも突拍子がなかった。
ゆえに、いきなり無計画に海外に行こうと思い立った、ことは良しとしよう。


「兄は、なぜ、3年も我が家と連絡を絶っていたのだろう?
管理人殿に対しては、このようにマメな連絡をしていたというのに…」


あまり詳しくは思い出せないが、父と兄の関係は、悪くなかったはずだ。
無論、多忙な父とは会う機会自体少なかっただろうが。



私の質問に、管理人は、困ったように、はにかんだ。
少し、考え込むような眉の動きをしている。


「…」


しばらく沈黙がながれた。














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