僕たちは回り続ける

「は?」

駿のつぶやいた言葉に回りは総出で言った。


「コレ、俺の許嫁だから。いいよっても無駄」


不機嫌そうな表情で言い切った後駿は静香とどこかへ消えた。

「あの声どこかで聞き覚えあるんだよね」


ううむと理生が唸る。

彼女の趣味はインディーズバンドの追っかけ。しかも多数。人間関係も豊富なら、知ってるバンドの数も多い。


「ハスキーな色っぽい声だよねぇ」

うっとりした声で理生。


「声フェチめ」

「悪い?」

「悪くはないけど、性格悪くない?」

「素直でいいじゃん。裏ある男はもうこりごり」



理生はつい最近二股をかけられた挙句振られたばかりだった。
それはもう悲惨なくらい落ち込んで、梓は必死で励ました。今でこそ笑って話せるが別れたばかりのときは声をかけることさえ戸惑ったものだ。

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