実の弟に恋をしました。




『♪〜』


聞き慣れた着信音が部屋に鳴り響いたのは、土曜の深夜のことだった。


「んー……誰?」


重たい瞼を開け、枕元にあった携帯をとる。


こんな時間にかけてきそうな人物なんて、由紀くらいしか──……。

ディスプレイすら確認せず、寝ぼけ眼で携帯を耳に当てた。




「…もしもし?」




…だけど──…



『……真弥?』



携帯の向こうから聞こえてきたのは、由紀の声なんかじゃなくて。



あたしは、息を飲んだ。






『真弥、俺』








…………雄司……。







< 68 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop