実の弟に恋をしました。


同時に蘇ってくる、カフェでのやり取り。


あの日雄司は、初めて本性を現してあたしを罵った。


怒りが込み上げ、携帯を持つ手が震える。


二度と話したくない。


そう思って、通話ボタンを切ろうとしたとき─…



『真弥!ごめん!』



耳に響く、悲痛な声。


それはかつて聞いたことない、今にも消え入りそうな雄司の声だった。



『……俺、真弥に酷いこと言ったよな。本心なんかじゃなかったのに……』


「……」


『会って謝りたい。このままじゃ俺…前に進めないんだ』


………前に、進めない。



それは、以前のあたしと同じだ。


ドクン、と、心臓が大きく波打つのが解った。




……雄司。


反省、してるの──?






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