実の弟に恋をしました。
「…大きいね」
初めて見る、雄司の家。
オートロックのマンションで、黒を基調としたシックな外観だ。
こんな家に一人暮らしなんて、雄司はどんだけお金持ちなんだろう…。
そんな疑問を抱きながら、雄司の背中を追う。
辺りはすっかり暗くなり、5時を告げるメロディーが遠くに聴こえた。
エレベーターの11階のボタンを押して、雄司はそわそわするあたしを見て小さく微笑んだ。
「緊張してる?」
「…少し」
「大丈夫。なにもしないって誓うから」
そう言って、冷たくなったあたしの手をギュッと握った。