実の弟に恋をしました。
──コツ
──コツ
静まり返ったマンションに、あたしと雄司の足音だけが響き渡る。
11階の、一番奥の部屋が、雄司の部屋。
『大熊』と書かれた表札を見て、あたしはゴクリと唾を飲んだ。
「入って」
「…おじゃまします」
……大丈夫、だよね?
雄司、ちゃんと反省してくれたし…。
それに、今日が最後だと思えば。
───カチャン。
あたしを部屋に入れるなり、雄司は後ろ手で鍵を閉めた。